災害時の心得                           

一般社団法人富山SAVEふくしまチルドレン

代表 川嶋茂雄

 

災害の発生に備えて被害を未然に防ぐため、また災害が発生した場合に被害を最小限にとどめるため、阪神・淡路大震災、能登沖地震、中越地震、東日本大震災、能登半島地震などの経験を活かし災害時の行動をまとめた。

 

1.災害に備えて

 常に近所・町内会の行事に出て、情報を交換する。

 「自助・近所・共助」が大切。

 「公助」は後回しにして、自分たちで助け合う。

 

2,災害時の対応

 災害にはいろんな種類がある。その種類によって対応は異なるが、避難するためには、いずれも基本動作が出来ることが前提となる。そして、車での避難の場合は、その日に使ったガソリンはその日の内に満タンにするのが基本となる。

 日頃から災害の正しい心構えが重要であるため、それぞれの災害種別ごとの避難行動のポイントを示したい。

 

①津波→より早く、より高く

 ・直ちに海浜から離れ、高さの十分ある頑丈な所へ急いで避難。

 ・とにかく歩いて逃げる。

 ・津波は、第1波が必ずしも最大であるとは限らない。第2波以降が大きくて怖いこともる。津波は、何度も繰り返し押し寄せることが多く、津波警報がでている間は避難を続ける。

 ・津波は到達時間が予測でき、比較的時間の余裕があるため、逃げれば大丈夫。
  ・ただし、富山県の場合は「海底地滑り」が発生する為に、到達予想時間より早い。

 

②地震→まずは身の安全

 ・直ぐ机の下に逃げ込む。大きさは関係無い。収まるまで待つ。

 ・収まったら火を消す。ガスの元栓閉める。ブレーカーを切る。

 ・ドアや窓を開けて避難経路を確保

 ・携帯基地局は2時間でバッテリーが上がるから、家族の安否確認及び災害用伝言ダイヤル(171)への安否録音はすぐに行う。

   ・水・簡易トイレ・食料・毛布をありったけを集めて車で避難。

 ・大きな地震の後は、時間差で2回・3回と規模の大きな地震が起こる事もありえるので注意が必要。

https://www.ntt-east.co.jp/saigai/voice171/

 

③原子力災害→風向きが大事

 ・風向きは大体が北風・偏西風が主流。南・東には逃げない。北・西に逃げる。

 ・山は高ければ高いほど良い。遮る。1,000m級の山を目指す。

 ・1㎜㏜/hで大騒ぎしない。

 

④水害→早めに避難

 ・ハザードマップは災害が起こるリスクの高い場所に色がついているが、色がついていないところは安全だと誤解してしまう可能性がある。また、内水氾濫やため池のハザードマップへの掲載がほとんどない。そういう意味でハザードマップは信用出来ない。だか  ら想定以上に逃げる。

 ・川の縁や山の縁は危険。山の縁は「広葉樹」がたくさんあれば大丈夫。「針葉樹」は土砂崩れが起きる。

 ・車で逃げる際は、道路が冠水していたら諦めて戻る。何度も経験した者なら、車内に水が入ってこない高さを確認して、80km以上で走り抜ける。すると水は入ってこないし、通り抜けられる。ただし、ハイブリッドは高圧電力が車の下に流れているので危険。

 ・ワイパーは最高スピードにしていても前は見えない。カンで何百メートルかを走り抜ける事がコツ。水圧に負けないほどスピードを出す。勇気が必要。ただし、水圧でプリウス程度の車ならフレームが曲る。

 

⑤雪害→不要不急の外出は控える

・暖流が日本海沿岸に沿って流れている為に水蒸気が発生し、また、輪島市上空には-36度の冷たい寒気が居座るため北陸の雪は湿気を含んでいて重い。尚且つ寒ければ凍る。だから、スタッドレスタイヤでは余程慣れていないと通用しない。慣れていない者はチェーンを履いていても滑る。

・カーポート設置の家が少ない。雪が重いために、カーポートの屋根が壊れる。毎冬たくさんのカーポートが壊れているのを見る。

・2~3日、車の屋根から雪を下ろさないと車が潰れる。いわゆる「亀の子」に厳重注意。車の下が雪で浮き上がりタイヤが接地しなくなる。これが起これば、車の下の雪をどかすしかない。これは北陸の人間しか通用しない。脱出不可能。車にスコップを積んでいるのはその為。JAFを呼んでも対応しない。

・融雪装置が完備している道路はまだ大丈夫。融雪装置が完備してない道路は厳重注意。雪は一晩で30cm以上降る。

・北陸の家は頑丈に雪に対応して建設してあるから大丈夫。しかし、地震で一部損壊判定は仮設住宅には住めない。一部損壊判定は1m以上雪が積もると雪の重さで潰れる可能性があるが、急には潰れない。予兆がある。まずは、停電やケーブルテレビの線が破損して見れなくなる。次に、ミシミシと音がする。音がすると直ぐに逃げる。寒さをしのぐ場が無いのが問題。一人か二人暮らしが奥能登の山奥には多いが、豪雪のために救助に行けない。

 

避難所での過ごし方

 

①昼間は家族が集まりやすいように決まった場所を決めておく。

 

②女性や子どもが過ごしやすい環境を整備する。性犯罪・性暴力を防ぐ為。

 男女別の就寝場所・仮設トイレ・入浴場所・洗濯場所や物干し場などの設置

 犯罪が起きやすい人目のない場所や暗がり、女性や子どもが利用するトイレの周囲への照明の設置。

 授乳やおむつ替えのスペースの設置


https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/suisin/kihon/6/nakazima3.pdf

 

③夜中の見回りを3人以上が必要。これは、体調急変に備える為。

 

④段ボールベットは必要。必ず確保する。高齢者優先。

 出来れば、間仕切りより簡易なカーテンかタオルがあれば良い。

 

⑤廊下スペースは広く取っておく。何か急変があれば救急隊員が駆けつける為。

 

⑥救急車が駆けつける為に避難所の駐車スペースは専用でなるべく近くに設置する。

 

⑦自治会長に仕切らせるより、公務員OB・市・町・村議会議員やそのOB

を責任者にする。いざとなれば、自治会長より発言権はある。いないとき

は、防災士を任にすえる。必ず責任者の下には副会長を決めておく。

 

⑧婦人会長を決めておく。婦人会長の下に副会長を据える。災害時は婦

人会長が頼りになる。物資の配給などは任せる。女性は得意。

 

⑨防災士は必ず副会長か会長になる。避難所には3人が必要。

 

⑩長期戦を覚悟して、交代で休む。

⑪酒は禁酒にする。避難所が荒れる原因。

 

⑫果物を確保するかサプリメントを用意する。ビタミン不足に陥る為。

 自衛隊は最低限しか持ってこない。支援団体に要請する。

 

⑬市・町・村職員を避難所運営に使わない。役所の維持に全力を出させる為。

 

⑭着替え用の男女別のテントを用意する。

 

⑮体調が悪くなった人用のテントを用意する。

 

⑯自衛隊のお風呂の支給は2週間後と思っていた方が良い。それまでは、ウエットティッシュで身体を拭く。

 

市・町・村の役割

①支援物資が片寄らないように、情報交換を密にする。

 必ず無い所・集まる所が出てくる。公平に分ける。

 

②道路の状態をいち早く掴み、応急的に修理する。

 

③災害対策本部では、公平に分配されているか?確認する。公平に分配されていないときは、役場が対応する。公平に分けるのは地域「消防団」の仕事にすれば良い。

 

支援団体の役割

・市、町、村役場職員、社会福祉協議会職員に無理は言わない。彼らも被災者と言う事を忘れない。彼らも一生懸命。それを責めるのは分かっていない証拠。

 

・とにかく支援団体はサポートに徹する。必ず目こぼしがある。目こぼしをサポートする事が支援団体の役目。その役目をきっちり自覚する。



「一般社団法人富山SAVEふくしまチルドレン」